TOP > 住まいの豆知識 > 花と緑のある生活 > 夏の植物管理
-
夏の植物管理
大切に育ててきたあなたの植物は元気ですか?
暑い日が続くと、少々バテてしまうのは、人間も植物も一緒です。
これから迎える暑い夏の間の植物の管理についてちょっと注意しておきたい点をまとめました。
植物の夏バテ
四季折々の変化を楽しめる日本ですが、植物も人間と同じで湿度の高い夏は苦手です。
毎日水をやっているのに元気がない、花がなんとなく小さくなってきた、葉の色が黄色くなってきた…、等は夏バテの症状です。
通気が悪いために、高温や多湿による病気も発生しやすくなります。
植物の夏バテの原因
1.直射日光&高温
高温や強い陽射しに長い時間さらされていると、葉や幹の温度も高くなり、その結果その部分の組織が死んでしまいます。この状態を「葉やけ」「幹やけ」といいます。
ちょうど人間が長時間日光に当たって日焼けをしたり、日射病や熱射病を起こすのに似ています。
この症状は、高温と強い陽射しの両方によって起こるので、気温が高くなかったり、風がある程度吹いていれば起こりにくいものです。
2.熱帯夜
熱帯夜が続くと人間の体力が消耗するのと同じように、植物の体力も消耗します。
植物は昼に日光と空気中の二酸化炭素から養分をつくり、夜は活動を休むものですが、夜間も気温が高いと呼吸を盛んに行い、養分をドンドン消耗します。このため、開花するための養分が少なくなり、花が小さくなったり花色が悪くなったりまします。
この症状を防ぐには、植物がさらされる温度をできるだけ低くする環境をつくることが大切です。
3.暑さ
暑いと根も夏バテになります。植物の根は先端に近い部分で栄養をとったり、呼吸を行ったりしています。気温が高いと根の呼吸が盛んに行われますが、通気性の悪い土や根でいっぱいになった鉢の中では酸欠状態になります。
高温多湿時の植物の病気
通気が悪く高温多湿だと植物も病気になります。
風通しの悪いところでは、梅雨の時期や夏の高温多湿時には、いろいろな病気な発生しやすくなるので、注意が必要です。
主な病気 |
写真 |
症状・対策 |
薬剤 |
灰色
かび病 |
|
花やつぼみに灰色のカビが発生する病気で、風通しが悪く過湿になりやすい場所で発生します。病気にかかった葉や果実は切り取り、まん延を防ぎましょう。窒素分の多い肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。 |
ベンレート水和剤、ダニコール1000、エムダイファイー水和剤など
|
うどんこ病 |
|
葉や茎に白い斑点状に出たカビがやがて、粉をまぶしたように植物全体に広がります。
窒素分の多い肥料の与え過ぎや反対にカリ分の欠病もカビの発生を助長します。 |
サプロール水和剤、ダコニール1000、オルトランC、ベニカグリーンVスプレーなど
|
軟腐病 |
|
細菌による病気で、植物の地面に近い部分が腐り、悪臭を放ちます。
細菌は傷から侵入しますので、水のはね返りがないように株の根元に水やりをしましょう。 |
発病してからは効果がありません。予防薬としてヤシマストマイ液剤20があります。
|
炭そ病
べと病 |
|
葉にさまざまな病班が発生する病気です。古い用土を用いたり、植えっぱなしで管理の悪い場合にも発生します。
風通しを良くし、定期的に薬剤を散布します。被害にあった枝葉は早めに切り取ります。 |
ベンレート水和剤、エムダイファー水和剤、オーソサイド水和剤など
|
-
夏バテ防止のポイント
ここがポイント
1.湿度をできるだけ下げる工夫をしましょう!
風通しをよくし、熱を逃します。
風通しが悪いと、高温により湿気が熱を持ち、株が蒸れてしまいます。
2.直射日光を避けましょう
直射日光を避け、植物が過しやすい環境にするため、夏の間は置き場所にも気を付けましょう。
特に、ベランダやテラスで植物を育てている方!ベランダやテラスは春から秋にかけて鉢花を楽しむには最適な場所ですが、夏の直射日光で葉やけを起こし、葉先が枯れてしまったり、壁面やコンクリートの床に当たる強い日ざしでベランダが高温になり、植物が弱ってしまったりします。
特に南や西向きのベランダでは部分的な日除けが必要になります。 また、マンションや団地などは周りがコンクリートのため、夏の照り返し対策も必要になります。
-
対策1 …日やけ防止
部分的にすだれやよしず、寒冷紗などをはり、日除けをします。寒冷紗は、遮光率が%で表示されています。日除けとしては30~50%程度が良いでしょう。
-
対策2 … 照り返し防止
壁面によしずやトレリスをたて、床はコンクリートの上にウッドデッキやすのこを敷き、照り返しを防ぎましょう。また、鉢植えは直接床に置かず、レンガやプランタースタンドなど、一段高くすることも大切です。
-
対策3 … 置く場所を考える
日向を好む植物は柵に掛け、下の部分に陰のスペースができるように工夫し、陰のスペースには直射日光に弱い植物を置くようにします。フラワースタンドの場合は下の段に、直射日光に弱い植物を置くようにします。
※※※ 注意 ※※※
●クーラーの室外機からの熱風には充分注意してください。
●鉢などが落下しないようにしっかり固定しましょう。
●避難通路をふさがないようにしましょう。
-
夏の水やり
水やりは、水分の補給とともに土に新鮮な空気を送り込むことが大きな目的です。
表面の土が乾いてきたら、たっぷり水を与えましょう。
ちょろちょろと与えただけでは、土の中の古い空気を追い出すことができないので、新鮮な空気も送り込めません。
土に充分しみこんだ水が鉢底から流れ出し、鉢全体に新鮮な空気がまわることで根に酸素が供給されることになるのです。
水やりのポイント
1.炎天下での水やりは避けて!
炎天下で水を与えても蒸れてしまい、かえって植物を弱らせてしまいます。(野菜をゆがいているのと同じです) 昼に見たら、しおれていてかわいそう!と思っても、ガマンしてください。
水を与えると一時的には温度は下がりますが、日差しが強い時は、蒸れてしまいます。どうしてもという時は、日陰に移し水やりをするか 、涼しくなるのをじっと我慢し夕方与えましょう。水はできるだけ、早朝や夕方の涼しい時間にやりましょう。
2.開花中は花に水をかけないで!
開花中は花にかけないよう株元へ与えます。花に水をかけると蒸れたり花びらが散ったりして、花が速く傷む原因になります。咲いていない時は全体にかけましょう。
高温で乾燥しやすい夏は、ときどきシャワーや霧吹きで葉に水を与えましょう。ダニの予防にも効果的です。
3.ホースから出る熱水に注意!
ホースを使用する場合、ホース内に残っていた水が、日中の暑さでお湯になっている場合もあるので、少し流して温度が下がったことを確認してから植物に与えましょう。
夏バテしない肥料の施し方
肥料は主に「チッソ」(N)、「リンサン」(P)、「カリ」(k)の3つの成分から成り立っています。
油かすなどの「チッソ」分の多い肥料を施すと夏バテしやすくなります。
反対に「カリ」(k)成分の多い肥料は耐暑性をつける(夏バテを防ぐ力)、耐寒性(寒さに強くなる力)をつける効果があります。
夏前から、「カリ](K)成分の多い肥料を施します。
ハイポネックスの粉末がお勧め! |
|
ハイポネックスの液体肥料はN:P:Kの割合が5:10:5でこれは、冬から春にかけての開花期に使うと効果的です。
これに対して粉末のハイポネックスは6.5:6.5:19と「カリ」分が多くなっていますので、夏越しに適しています。
|
-
留守のときには
夏休みなど、長期間家を空けるとき、残してきた植物が心配ですよね。
帰ってきたら全部枯れていた!なんてことのないように、水、置き場所には
気を付けてください。
出かける前には
-
【室内のもの】
家の中央等の温度変化が少なく、光合成ができる場所に鉢を集めて置いておきましょう。
-
【室外のもの】
家の中央等の温度変化が少なく、光合成ができる場所に鉢を集めて置いておきましょう。
帰ってきたら
-
家の中央等の温度変化が少なく、光合成ができる場所に鉢を集めて置いておきましょう。
-
乾燥の激しい植物は“腰水”という方法で水分を補給させましょう。
-
もう一度花を
鉢からあふれるように成長した花も、湿度が高い夏には蒸れて弱る原因になります。
あー、かわいそう、なんて思わないで。新しく出ている芽を残して切れば、
切ったところからまた新しく伸びて、こんもりときれいな形になりますよ。
切り戻しの済んだ株は、株の周囲に置肥をしておけば元気に育ってきれいな花を咲かせてくれます。
エードボール
植物の生育に欠かせないチッ素、リン酸、カリに加え、植物の生理機能を高めるマグネシウムを配合した代表的な固形肥料です。
肥料成分を樹脂加工してあり、土中の水分により溶け出し、効果は約2~3カ月持続します。
無臭で、手を汚さず手軽に扱えるので、特に室内で鉢物用の置き肥として適しています。